ぱっちりひつじ

げんじつにっき

ひつじAによる全曲解説:第13回「ナナシザメ」

ひつじA:りょう :
Category: おんがく,ゆめ

続いては、2曲目、「ナナシザメ」です。


■どんな夢?

夢の中で、僕は、何の目的もなく、ただ広い海の中を泳ぎ続けるだけの生き物でした。
泳ぐ意味も分からない、自分がそこにいる意味も分からない。
そもそも、自分って何なんだっけ?
自分の名前って何だっけ?

悩み続ける生活に嫌気がさし、ちょっと遠くまで泳ぎに行ってみたところ、
暗い海の底で迷子になり、彷徨い続ける羽目に。
押し寄せる海流に飲まれ、
「もうこのまま死んでしまうんだろうなぁ」と思ったところに、
ふと、不思議な声が聞こえます。
「君に名前をあげよう」と。

気が付くと、まぶしい、明るい世界に僕は居ました。
もの珍し気に浴びせられる視線の中で、
僕は、自分が「サメ」という名前の生き物だということを知ります。

初めて名前をもらった喜び、注目される喜び。
やっと、自分が何者なのか分かった喜び。

しかし、絶滅した種の唯一の生き残りであったために、
過度に保護され、注目され、もはや自由に泳ぐことすら出来なくなりました。

こんなことなら、昔のほうが良かった。
自由に泳げた頃のほうが良かった。

そんなことを思いながら、水槽の中で、
昔の生活を思い出しながら泳ぎ続けるのでした。

”そうだ、嫌われていても、疎まれていても、
あの時の自分は、少なくとも孤独ではなかったのだ”


■どんな曲?

ぱっちりひつじ史上、最も長くて複雑な曲です。
あまり難解にするつもりは無かったのですが、
夢で見たストーリーを描写していくうちに、どんどん筆が進み、
気が付いたら、こんな大曲になっておりました。

イントロを経た後、シンセリードがメロディをとる6/8拍子のパートは、
いわばこの曲の主要テーマ。
後半に出てくるオルゴールパートや、
歌メロの一部も、このテーマをもとに組み立てられています。

そして、ようやく始まる歌メロパート。
この部分だけでも成立するような、
オードソックスな児童ソングをイメージして作りました。
ちゃんと、Aメロ、Bメロ、サビ、があります。

その後、深海を彷徨ったり、波にもまれて浜辺に打ち上げられたり、
水族館に保護されたりしながら、
元の歌メロパートに戻っていくのですが。

音楽的には元に戻っていながらも、
お話としては、まったく違うシチュエーションに変化しています。

…そのあたりは、ぜひ、歌詞と絵を見ながら聴いて頂けたらと。

自分が何者か分からずに、ただ「個」を求め続けたサメ君の、
ちょっと切ない物語を楽しんでもらえたら嬉しいです。


■そのほかのエピソード

泣きのギターソロがたっぷり盛り込まれたこの曲。
あまりにギターパートが多すぎて、
ひつじG:みうみう から、
「エンディングは、キーボードもソロやってくださいよ!」
と怒られてしまいました。
その結果、エンディングはギターとオルガンのソロバトルをすることに。
でも、やって良かったな、と思っています。

あと、特筆すべきは、主人公が浜に打ち上げられてからの、
縦長の生き物が取り囲むシーン。
学者(男)、学者(女)、漁師、老人、悪ガキ、という5つのキャラを、
ひつじE:ゆう が全て演じています。
器用ですねぇ。